偽史、フェイクロア、創られた伝統を巡る旅路
偽りの内容でありながら、史実として語られ伝承してきた出来事、文献、史跡。古来より伝わる伝統と思いきや、実は近代に意識的に創作された由緒や文化。これらを「偽史」「フェイクロア」「創られた伝統」などという。
このような背景を持つ場所や存在は、人類が生み出した、豊かで、ときに狂気じみた想像力と、当時の時代背景に違った側面から迫れる興味深い対象である。そして何より、インターネットの全世界的な普及、都市計画や再開発といった合理性と遍在化が追求される現代においては、恐らく実現困難な存在だと思われる。
そこで私は、様々な思惑や妄想が表象して、現実と交差している様相を「特異点」と定義した。そして各地の特異点が、地域にどう溶け込み、また、どう活用されているのかという視点から観察し、対象と周辺をアーカイブするように撮影したのが、この『特異点紀行』である。
奇想ともいえる歴史の産物だが、実はそこに人類にとって不可欠な営みがあると考えている。奇妙で魅力的な特異点の世界をご紹介いたします。